油田新聞_2015.05.19
即身仏
この間のゴールデンウィークは喧騒な都会を離れ茨城で過ごしました。 実は、妻の実家が茨城にあり年に1~2回行っています。 私は魚が好きで妻の実家に帰るたび、魚市場に行くのが一つの行事ですが、
その日は休日のせいもあり海沿いの道路が混んで断念せざるをえませんでした。 その代わり、以前から行ってみたかったお寺に行ってきました。 特に名を知られたお寺ではありませんが、茨城県の唯一即身仏があるお寺で、
ずっと前から行きたかったところでした。 お寺の名は妙法寺(みょうほうじ)で、のどかな田園風景が広がる場所にありました。
小さな町のお寺であるためなのか客は僕ら意外誰もいなく、閑散し過ぎて
妙に暗澹とした気持ちになりました。 実は訪れる前に電話で予約を取って置きました。理由は住職がいないと即身仏の
お参りができないという情報をネットで拾ったからです。 事務所のベルを押し、しばし待っていたら住職のご家族のような方が出迎えくれました。 お寺の暗いイメージと裏腹に案内人はとても親切で笑顔が似合っていました。
本堂に入ると普通のお寺と同じ構造で真ん中に仏像がありました。そして、その右側に
ガラス張りの中に即身仏が安置されていました。 以前、山形県の即身仏を写真で見たことがあり大体のことを想像していましたが、
妙法寺の即身仏は骨折によるものなのか頭部の位置が奇形でした。でも実物を
見たのは初めてのことで実際見た人だけが感じる神々しさがあり、とりつかれたように
何分間も見つめました。
即身仏は昔のお坊さんが自ら仏になるため、死後自分の体が腐らないように脂肪分を
極限に減らす食事を摂り、防腐作用がある漆の汁を飲んだそうです。その後自らお墓を
掘り、生きたままその穴に入って死を待っていたそうです。あまりにも苦しさに耐えられず
途中で逃げる者も多かったようです。そして耐え抜いて死を迎えても自然摂理を逆らえず
体が腐ってしまうことが多かったことから成功率は極めて低かったようです。 昔は防腐剤がなく死後の体が腐らないことは、天から選ばれた者だけが即身仏に
なれたのかもしれません。
時間の余裕があれば山形県にある即身仏のお参りもしたいです。
(A. F.)