油田新聞_2020.01.21
2019年の大晦日、祖母の家に挨拶に行ったところ、偶然にも“夜明かし”の日ということで、神社へ行ってきました。
ミカリ神事というらしいのですが、大火が焚かれた境内で火の粉が舞う中、笛や太鼓の音と「オートイ、オートイ」と
いう掛け声で天狗の姿の猿田彦を先頭に氏子が神輿を担いで練り歩きます。
従姉妹の子どもたちを連れていったのですが、小さい子どもにはこの天狗が怖いらしい(笑)
昔、農地を荒らす猪や鹿を神様が退治したとされ、安心して農作業が行えるようになった感謝の意を込めて、五穀豊穣や
海上安全を祈願している無形民俗文化財で、一連の神事として行っている神社は県内でここだけだとか。この大火たきの
火にあたると、一年間風邪をひかないとか言われます。火柱が結構高く上がったりするので、“おぉっ”って声が上がります。
旧暦の十一月~十二月頃に行われる行事なので、この火で暖をとりながら眺めています。
“おみかり”って昔から時々耳にする言葉でしたが、意味を考えたことはないかもしれません。県指定「房総のミカリ習俗」を見てみると…
先に書いた祖母の家から徒歩五分の神社に、実家から徒歩五分の神社と、君津にある神社の3つが伝承地として選択されて
いるようで、三分の二が昔から行っている最寄りの神社でちょっとびっくり。
ミカリ神事の初日はイチノビと呼ばれ、農業に携わる人は田畑に出ないとか?小学生だった私は覚えていませんが、
母曰く、農業をしていた祖父母は、確かにこの日を休みだと言っていたし、昔はこの日に針仕事等はしなかったそうです…
生活習慣が変わってきている今日でも、「物忌み」という普段の暮らしとは違っていろいろな行いを慎む習慣が今でも
守られているのが特徴らしいです。
農業に関わる神事は他にもあり、実家近くの神社では、毎年元旦に、その年の豊作を願って「御田植神事」が行われます。
竹の鍬で田を耕し、牛役の男性が代掻きを行い、籾をまいて、松葉で田植えをする、というのが流れらしいです。
牛役って何だ?って感じですよね…新婿が務めるそうですが、毎年いるかな…
ここ数年、弟が青年団として出かけて行ってますが、私はこの行事が始まる前にそそくさとお参りをすませて退散するのが
毎年の光景。祖父がまだ元気だった頃神社に出かけていったのはこのためか、と今になって思い出します。
伝統が続いている間に一度くらい見に行ってみようかななんて思ってます。
( M. S. )