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油田新聞_2016.07.19

さくらんぼの思い出

季節は少し過ぎてしまった話で気が引けるが、

初夏の果物と言えば、さくらんぼが真っ先に思い浮かぶ。

5月頃から出回るのは、ツヤツヤしたアメリカンダークチェリー。

甘みが強く、果肉もしっかりしてとてもジューシー。

焼き菓子にはアメリカンダークチェリーがとても合っている。

佐藤錦に代表される日本のさくらんぼが出回る頃は、夏もすぐそこまで来ている。

佐藤錦は 皮が薄く、甘さも控えめで、ほのかな酸味が加わり味は抜群だ。

見ためも清楚で、薄ピンクが可愛らしく、まさに果物のお姫様。

ここまで書くと、佐藤錦びいきのように聞こえるかも知れないが、

ダークチェリーには思い出がある。

フランスにいた頃、マルシェで山のように積まれたダークチェリーをよく買った。

飾り気のない、茶色の袋に直に入れられたさくらんぼを洗いもせずに、

お昼ご飯代わりに歩きながら食べた。

それくらいさくらんぼが大好きだった。

ついでに思い出話をもう一つ。

高校生の時、男子達に「果物の中で何が一番すき?」と聞かれたことがある。

クラスのかわい子ちゃん達は、「いちご!」「さくらんぼ大好き!」と言う答えだったらしい。

私は自分をよく知っているので、すかさず答えた「長十郎梨」と。

男子達は納得の様子で「らしいよな~」と異口同音に言っていた。

ああ、今なら迷いなく答えただろう。

「さくらんぼが一番好き!」

やれやれ年増になるというのは、図々しく恥ずかしいものである。

( K. I. )

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